<シャープ>テレビ好調、業績改善寄与 8K成長がポイント
シャープの液晶テレビが好調だ。海外を含む販売台数は近年落ち込んでいたが、2017年度は1000万台と16年度の540万台から2倍近くまで回復し、業績の改善に寄与した。引き続き好調を維持できるかは、海外での一層の売り上げ拡大と、超高精細画質の8K市場の成長がポイントとなる。
「国内では3台に1台の割合でシャープのテレビが売れている」。16日に堺市で取材に応じたシャープの喜多村和洋・テレビシステム事業本部長は自信をのぞかせた。調査会社BCNによると、国内の液晶など薄型テレビ市場シェア(台数ベース)はシャープがトップを維持し、18年4月は35.7%に達する。
シャープの液晶テレビ販売台数のピークは、地上デジタル放送への移行や家電エコポイント制度の特需があった10年度の1482万台。11年度以降減少し、16年度は過去10年で最低だった。国内市場についてBCNの森英二アナリストは「今後は買い替え時期に入る」と分析。シャープは、AI(人工知能)やIoT(モノのインターネット)を活用した商品を展開し、売り上げを伸ばす。
18年度は、17年度を超える目標を掲げるが、鍵の一つが海外市場。親会社の鴻海(ホンハイ)精密工業(台湾)の販売網を活用し、17年度の売上比率(金額ベース)は海外が8割に達する(16年度は6割)。喜多村本部長は「中国では低価格商品を中心に売り上げを伸ばした。アジアではモンゴルやミャンマーといった空白市場にも参入したい」と意欲的だ。
中長期的に成長の軸として期待される8K対応テレビについては、60型の液晶テレビを秋ごろに発売する。チューナーを内蔵しないモデルでは価格を100万円以下に抑えたい考えだ。
ただ、市場における8Kテレビの割合は「ほとんどない」(森アナリスト)のが現状。昨年発売した8K対応テレビも昨年度末までの目標の1000台には届かなかった。森アナリストは「8Kテレビを販売しているのはシャープだけで、今後は見通しにくい」と指摘する。【小坂剛志、加藤美穂子】