NHK受信料値下げ見送り、理解得られるか
こうした状況下、昨年12月の最高裁判決で「合憲」のお墨付きを得た受信料制度について、NHKは平成30~32年度の次期経営計画でテレビ設置月の受信料を無料にするなどの減免措置を盛り込む一方、一律の値下げは見送った。受信料の額は現行を維持しつつ、受信料徴収に対する視聴者の不満抑止を図るため、受信料収入への影響が小規模にとどまる減免措置を採用した格好だ。
受信料収入は平成28年度で6769億円と3年連続で過去最高を更新。利益剰余金(内部留保)に当たる繰越金は30年度末で767億円となる見込みだ。
一方、将来的には人口減に伴う受信料減の懸念もあり、NHKはネット戦略を強化。31年度開始を目指す同時配信ではネットのみの視聴世帯に対し、受信料新設による新たな財源確保をもくろむが、反発に配慮し、新設は先送りが決まっている。
放送法はNHKの業務について「営利を目的としてはならない」と規定している。今回の次期経営計画を踏まえ、NHKには受信料を支払う意義について改めて丁寧な説明が求められている。(大塚創造)