最低賃金「全国一律に」年間最多80議会で意見書 人口流出に危機感
最低賃金「全国一律に」年間最多80議会で意見書 人口流出に危機感
厚生労働省前では、全国労働組合総連合(全労連)が最低賃金の「全国一律化」などを訴えた=2024年1月、東京都千代田区、楢崎貴司撮影
地域でばらつきがある最低賃金について、「全国一律」を求める意見書の採択が地方議会で広がっている。全国労働組合総連合(全労連)によると、2023年に80議会で採択され、年ベースで過去最多となった。背景には都市との賃金格差で人口が流出し、地方の人手不足が進む危機感が強まっていることがある。 【写真】全国最低の最賃「県民はショック」 それでも変わらない岩手の言い分 23年に採択したのは北海道根室市や新潟県三条市、福岡県行橋市など。根室市は地域で最低賃金が異なることについて、「地域間の経済格差を固定させ、地方から都市への人口流出の原因となっている」とした。 全労連によると、20年から採択議会の増加が目立ってきたという。20年~23年で採択したのは計164議会にのぼる。県議会では岩手、島根で採択。市町村議会では秋田県で25のうち20、長野で77のうち36が採択し、地方が目立つ。中には複数年にまたがって連続で採択された議会もある。 最低賃金は企業が払うべき最低時給で1959年に法律で定められた。働く人の生活を守る安全網として機能し、毎年、厚生労働省の審議会が引き上げの目安を示す。この目安は都道府県を3ランクに分類して示すため、地域で金額に差が出る構図となっている。
朝日新聞社