NHK次期会長に元日銀理事・稲葉延雄氏が就任へ…財界出身続く
NHK次期会長に元日銀理事・稲葉延雄氏が就任へ…財界出身続く
来年1月24日に任期満了となるNHKの前田晃伸会長(77)の後任に元日本銀行理事の稲葉延雄氏(72)が就任する見通しとなった。会長を選出する経営委員会(委員長=森下俊三・関西情報センター会長、12人)は5日午前の会長指名部会で議論した後、経営委を開き、正式に決定する。
稲葉氏は1974年、東大卒業後、日本銀行入行。システム情報局長、考査局長などを経て2004年に理事に就任。大阪支店長などを務めた。現在はリコー経済社会研究所参与。
前田会長は、過去最大となる受信料の1割値下げを含む3か年経営計画の修正案を10月にまとめたが、本人は続投について一貫して否定。森下委員長らは新会長の人選を進めてきた。
次期会長候補には稲葉氏を含め、財界人ら複数の名前が挙がっていた。NHKでは、アサヒビール相談役(当時)の福地茂雄氏が就任した08年以降、財界出身の会長が続いている。
NHKでは現在、経営の無駄の排除、受信料の見直し、ガバナンス(組織統治)の改善という「三位一体改革」が求められている。さらにインターネット事業の拡大を模索しており、業務の肥大化が懸念されている。また、公共放送の役割とは何かが問われ、受信料制度に対する厳しい目も注がれている。
一方、BS1スペシャル字幕問題など、報道番組の公正さにも疑念を抱かれている。民放的演出の番組への批判も強い。さらに受信契約件数の大幅な減少という事態も起きており、新会長はこれまで以上の重責を背負っての船出となる。