TBSの“看板アナ”国山ハセンが電撃退社→転職 新天地となるウェブメディア「PIVOT」とは
TBSの“看板アナ”国山ハセンが電撃退社→転職 新天地となるウェブメディア「PIVOT」とは(小林佳樹)
【プロはこう見る 経済ニュースの核心】 TBSの看板アナウンサーの国山ハセン氏が年内いっぱいで退社することになった。自身がキャスターを務めるTBS系報道番組「news23」で退社を明かした国山氏だが、退職後の転職先はWebメディア「PIVOT」というベンチャー企業だ。 富川悠太→トヨタ、久代萌美→吉本興業…元局アナが選んだ「企業専属」ウィンウィンの構図 ■まずは赤字決算、今後3年が勝負 「PIVOTは昨年6月に設立されたばかりの会社ですので、売上高の実績は乏しいようです。第1期決算を見る限りまだ赤字で、出資された資金でつないでいる状況です。顔ぶれをみても、創業者の佐々木紀彦氏の母体企業をはじめ、メディア関係の転職組で占められています」(大手信用情報機関)という。 今年5月の決算では、資産総額が1億7525万円、負債総額が5038万円で、当期純利益はマイナス2億2619万円となっている。資本金は1億9999万円だが、今年7月にポストシードラウンドとして既存投資家である「One Capital」を引受先とする第三者割当増資で5億円を調達したとされており、現状の資本額は8億5000万円(資本準備金を含む)となっている。ポストシードラウンドとはスタートアップが行う資金調達を指す。「資本の余力があるうちに、先行投資のステージを脱し、収支を黒字化させることが求められる。創業3年が勝負だろう」(メガバンク幹部)と言っていい。 創業者の佐々木紀彦氏は、「東洋経済オンライン」元編集長で、キュレーションサイト「NewsPicks」の初代編集長。スタンフォード大大学院で修士号を取得している。創業メンバーには佐々木氏の人脈を反映して、朝日、産経、日経などの大手新聞社、NHK、TBSなどの大手テレビ局出身者らが名前を連ねている。「既存のメディアに飽き足らない人材を糾合して、ネットメディアとコンテンツの新たな融合やビジネス領域を広げようという試みのようだ」(佐々木氏と接点があるメガバンク幹部)とされる。自社のHP上では、人材の募集も行っている。 3月15日にリリースした経済コンテンツ「PIVOT」はサービス開始3日目でユーザー数が1万人を超えたほか、10月3日には、サービス開始半年で広告売上高が1億円を突破するなど、好材料もみてとれる。 社名の「PIVOT(ピボット)」とは、「事業戦略に行き詰まりを感じた時、ピボットを行えば、経営を大きく方向転換させられる」ことを意味する。国山氏はテレビの将来に不安を感じて退職を決意したとされる。はたして新天地で「ピボット」できるだろうか。 (小林佳樹/金融ジャーナリスト)