経産省、デジタル広告に世界初の規制拡大 グーグルなど3社指定
経産省、デジタル広告に世界初の規制拡大 グーグルなど3社指定
経済産業省本館=東京都千代田区霞が関1で2019年2月2日、本橋和夫撮影
経済産業省は3日、デジタル広告の利用基盤を提供するプラットフォーマーに適正な取引を促す法規制の対象として、米IT大手グーグルとメタ(旧フェイスブック)、日本のヤフーの3社を指定した。取引条件を変更する場合の事前通知や政府への報告書提出を義務づけ、立場の弱い広告主との公正な取引を促す。これまではオンラインモールとアプリストアが規制対象だったが、デジタル広告分野に規制を拡大するのは世界初という。 【プラットフォーマーを巡る主な論点】 IT大手に取引情報の開示を義務づける「デジタルプラットフォーム取引透明化法」に基づく措置。規制の対象となるのは、自社の検索サービスやネット交流サービス(SNS)などにオンライン広告を表示させる大手事業者(国内売り上げ1000億円以上)と、自社以外のウェブサイトへのオンライン広告を仲介する大手事業者(同500億円以上)。今回は3社を規制対象となる「特定デジタルプラットフォーム提供者」に指定した。 同法では、規制対象となった3社に、広告主への掲載条件の開示や、条件を変更する場合の事前通知を義務づける。さらに、広告主からの苦情・紛争を解決するための相談窓口を設置することも求める。3社はこれらの取り組み状況について定期的に報告書を提出。経産省は広告主や有識者の意見も取り入れて運営状況を評価し、必要があれば業務改善を求める。 デジタル広告を巡っては、広告主から「掲載のルールやシステムが一方的に変更される」「取引内容や価格基準が不透明」との苦情が上がっていた。また、企業イメージが傷つきかねないサイトへの広告掲載や、不正プログラムによるクリック数増加で広告費を詐取する行為の横行も指摘されている。 デジタル広告の国内市場規模は約2・7兆円(2021年)で、広告費全体の4割を占める。公正取引委員会によると、検索連動型広告ではグーグルが7~8割のシェアを占めるなど、指定された3社が市場で独占的、または有力な地位にある。政府は、デジタル広告大手の強い立場が不適切な取引実態を招いている懸念があるとして、取引適正化に向けた規制に踏み切った。【遠藤修平】