民放も番組をネット同時配信 日本のテレビがようやく“世界水準”に追いつこうと動き出した
民放も番組をネット同時配信 日本のテレビがようやく“世界水準”に追いつこうと動き出した(海原かみな)
NHKに続き民放キー局も同時配信へ(C)日刊ゲンダイ
【テレビが10倍面白くなるコラム】 いよいよテレビ番組をテレビで見ない時代になった。日本テレビは2日から、プライムタイム(午後7~11時)のバラエティーやドラマを、地上波放送と同時にネットで配信するサービスをスタート。「有吉ゼミ」「世界の果てまでイッテQ!」、10日から始まる「真犯人フラグ」などが、パソコンやスマートフォンで、どこでもいつでも見ることができるようになった。民放の配信プラットフォーム「TVer(ティーバー)」の「日テレ系ライブ配信」から入る。 「ガキ使 笑ってはいけないシリーズ」休止のウラ事情 12.31夜の民放視聴率11年連続1位なのに… テレビ朝日は年明け、フジテレビとTBSも今年度中に同時配信をスタートする。NHKはすでに昨年4月から「NHKプラス」で総合とEテレの番組を同時配信していて(午前6時~深夜0時)、東京オリンピック・パラリンピックの放送は、「受信料を支払っている世帯のスマホやパソコン」というしばりを外して、ID登録なしの“無料おためし体験”を実施した。来年春からはさらに発展させて、テレビを持たない人がネット視聴できる実証実験を始める。 アメリカ、イギリス、フランス、ドイツなど欧米、アジアでも韓国などは以前からネットで番組を流していて、世界のテレビの主流は電波放送でなく配信だ。大きく遅れている日本のテレビが、ようやく“世界水準”に追いつこうと動き出した。では、同時配信をどう使いこなせばいいのか。通勤・通学の電車の中や出先で、リアルタイムで視聴するのは当たり前としても、テレビ好きにとってありがたいのは“見逃し配信”だろう。 「日刊ゲンダイやスポーツ紙、SNSで“あの番組が面白かった”と評判になっても、動画配信サイトにアップされていないものも多い。NHKプラスは放送1週間後までほぼすべての番組が見逃し配信されていますが、民放もそうなれば利用度は広がります。とくに、定時ニュースや報道をチェックしなければならないようなビジネスでは、見たい時にすぐ内容を確認できたら便利ですよ」(メディア評論家) まあ、あまり必要はないだろうが、同じ時間帯に放送されている4つの番組を視聴することだって可能になった。たとえば、4日の月曜でいえば、日テレ系「世界まる見え!テレビ特捜部SP」をパソコン・スマホで見ながら、TBS系「CDTVライブ!ライブ!SP」はテレビで、さらにテレビ朝日系の「アメトーーク!SP」は録画、日テレ「人生が変わる1分間の深イイ話SP」は見逃し配信で楽しむなんてことができる。 ただ、同時配信は画像が粗く、音質も悪い。ネットの通信速度に限界があり、パソコン・スマホのスピーカーのレベルがテレビよりかなり低いことが原因で、音楽番組や絶景映像などはまだ苦手だ。 今後は、テレビ受像機もネット接続機能を持つタイプが主流になって、リモコンに「NHKプラス」「TVer」のボタンが付くようになる。 (コラムニスト・海原かみな)